入選
表現賞
河口洋一郎賞
受賞:
米百俵デジタルコンテスト2020 表現賞・河口洋一郎賞
作品番号:
300020
作品名:
kimochi
作者名:
内山 昴(東海大学)/ 山下 藍子(北海道大学)
分類:
IoTデバイス
概要:
子どもたちが書いた日記を感情分析し、気持ちに応じた味・香りの餅をつくるデジタル餅つき機。餅を家族や友達と食べれば気持ちを共有でき、コミュニケーションにつながります。様々な味をつくる過程で子どもたちの書く力や表現力が高まります。

受賞作品詳細

誰のためのデジタルプロダクトか

小学校高学年の子供たち

遊び・学び・暮らしをどう楽しくするか

kimochiは子供たちが書いた日記から彼らの気持ちに応じた味・香りのお餅を作る。子どもたちはどんなお餅が出来上がるのかワクワクしながら文章を書く。楽しみながら、書く力や表現力を向上させることができる。お餅を家族や友達と食べることで気持ちを共有でき、コミュニケーションにつながる。

デジタルでどう表現するか

kimochi本体(餅つき機)にねり容器をセットして、もち米と水を入れる。調理開始後こどもの日記を専用アプリに入力し、餅つき機に送信する。インターネット上の文章感情分析AIとkimochiが連動し、日記の文面は喜び、驚き、悲しみ、怒り、感嘆、嫌悪などといった感情のパラメータで表される。作成する餅の味・香りは、感情パラメータに対応した専用フレーバーカートリッジ(例:甘味=喜び、酸味=驚き、塩味=悲しみ、苦味=怒り、うま味=感嘆)を用い、子供たちの日記の感情分析結果に即して決定される。蒸し終わったら、決定した量の味と香りの成分が各フレーバーカートリッジからねり容器に投入され、餅をこねる作業が始まる。作成された餅の情報はアプリに送信、記録される。アプリ上にてレンダー形式で作成情報・履歴の確認が可能。

審査員の評価

日記に書かれた感情をAI分析し、その感情の味がする“餅”を食べられる、体験の面白さが際立っていた。テクノロジーを、役に立つことや課題を解決することに使うと考えれば無価値といわれるかもしれないが、「楽しい」という価値が高まったことで魅力的になったアイデアだ。お正月間近の餅つきのワクワク感、伸びる餅をみんなで食べているあたたかな風景、餅つき機のユニークな動き……。餅にまつわる人々の記憶がアイデアの背景となり、文化的豊かさを感じられる。小綺麗にまとめず、餅を媒体に選んだのが秀逸。想像をかきたてる作品になった。

味覚を人間の五感、感情に関係づけたことが良い視点だ。餅はコメどころの新潟県の特産品でもあり、豊かな柔らかさを感じる。機械的な硬質な物でなく、人間味がある。感情を投影するという視点を発展させて、ロボットや他の素材への応用も考えられそうだ。AIの事例蓄積・ディープラーニング、データ主義に留まらず、楽しみを付加しようとする姿勢が新鮮で素晴らしい。
方法論を細かく掘り下げることで、予期しない驚く成果が生まれることがある。実現化に向けて、より一層楽しみながら頑張って下さい。

特別審査員:河口洋一郎

受賞者の声

この度は素晴らしい賞をいただきありがとうございます。既存の技術を使って何ができるのか、この大会でどのようなものが求められているのかについて手探りの状態でアイデアを練ってきました。また、ITに関する知識がほとんどない状態からのスタートだったことで自由に発想できました。これを機にメンバー各々がITの発想を取り入れ、社会に新たな価値を提案できればと思います。ありがとうございました。

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